2社間と3社間で勘定科目はどう変わる?ファクタリングの仕訳をケース別に理解する
2026.01.16

ファクタリングの会計処理は方式の違いが重要
ファクタリングの仕訳を考えるうえで、最初に確認すべきなのが「2社間ファクタリング」なのか「3社間ファクタリング」なのかという点です。どちらも売掛債権を現金化する手段であることに変わりはありませんが、入金の流れや関係者の立場が異なるため、会計処理の考え方に違いが生じます。
経理実務では、ファクタリングという言葉だけで一括りにしてしまい、仕訳が複雑になったり、勘定科目の選択に迷ったりすることがあります。その多くは、2社間と3社間の違いを整理しきれていないことが原因です。まずは、それぞれの仕組みを会計の視点で押さえることが重要です。
それぞれの仕訳の考え方の違い
3社間ファクタリングの仕訳の考え方
3社間ファクタリングは、利用企業、ファクタリング業者、売掛先の3者が関与する形態です。売掛先に対して債権譲渡の通知や承諾が行われ、売掛先はファクタリング業者へ直接支払いを行います。
この方式では、利用企業にとって売掛金はファクタリングの実行時点で消滅します。そのため、会計処理としては売掛金の消し込みが中心になります。実務では、次のような考え方で仕訳を行うケースが一般的です。
売掛金を譲渡し、資金を受け取ったタイミングで、売掛金を貸方から落とし、入金額を普通預金で計上します。同時に、売掛債権を譲渡したことによる費用相当分を、売上債権売却損や支払手数料といった勘定科目で処理します。
3社間の場合、売掛先からの入金を自社で受け取ることはないため、未収入金や預り金といった中間的な科目を使う場面は比較的少なくなります。仕訳の構造がシンプルで、月次や決算での管理もしやすい点が特徴です。
2社間ファクタリングの仕訳の考え方
2社間ファクタリングは、利用企業とファクタリング業者の2者間で行われ、売掛先には通知されない形が一般的です。この方式では、売掛先からの入金は一旦利用企業に入ります。
そのため、会計処理では資金化の仕訳に加えて、回収と送金の仕訳が発生しやすくなります。ここが3社間との大きな違いです。
ファクタリング実行時には、3社間と同様に売掛金を消し込み、普通預金と費用相当分を計上します。その後、売掛先から売掛金が入金された際には、その入金は自社の売上回収ではなく、ファクタリング業者へ引き渡すべき資金として扱います。
このとき、預り金という勘定科目を使って整理すると、資金の性質を明確にできます。売掛先からの入金を預り金として受け取り、ファクタリング業者へ送金した段階で預り金を消し込む形です。
2社間では入金と送金が別タイミングになることが多いため、資金の動きを丁寧に追える仕訳設計が求められます。
勘定科目選定で迷いやすいポイント
2社間と3社間の違いを理解していても、実務では次のような点で迷うことがあります。
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売上債権売却損と支払手数料のどちらを使うべきか
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未収入金や仮払金を使う必要があるか
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受取手形をファクタリングした場合の扱いはどうするか
これらについては、会社ごとの会計方針や管理のしやすさを優先して構いません。重要なのは、取引の実態に沿った勘定科目を選び、毎回同じルールで処理することです。
受取手形をファクタリングする場合も考え方は同じで、売掛金の代わりに受取手形を消し込み、現金化した金額と費用相当分を分けて処理します。勘定科目が変わるだけで、仕訳の構造自体は大きく変わりません。
まとめ
ファクタリングの仕訳は、2社間か3社間かによって考え方が大きく変わります。3社間では売掛金の消し込みが中心となり、比較的シンプルな仕訳になります。一方、2社間では売掛先からの入金とファクタリング業者への送金が発生するため、預り金などを使った整理が重要になります。
どちらの場合でも、ファクタリングは売掛債権を現金化する取引であるという基本を押さえることが大切です。勘定科目は会社ごとの方針に合わせて選びつつ、継続的に同じ処理を行うことで、月次や決算での混乱を防げます。
2社間と3社間の違いを正しく理解し、ケース別に仕訳を設計することで、ファクタリングの会計処理は格段に分かりやすくなります。


